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トピックとお知らせ

駐在員帰国報告を実施しました。

8月22日(土)、ラオス事務所駐在スタッフ本多の帰国報告会を実施しました。活動会員やラオスでの活動に興味のある人など、15名の方が参加して下さいました。

本多からは2年弱に渡るラオス駐在での活動について、報告がありました。

【本多駐在員の報告より】
重要な点は、前回(2014年の報告)に引き続き、持続可能性(sustainability)です。読書がラオス文化に根付き、日本人の支援がなくても読書が行われる環境を目指します。そのために、2つの側面から取り組みを行っています。まず、利用者の側からは、地域の人々が自ら本を手にとるような環境づくりを目指しています。たとえば、若い世代のイラストレーターと組んで、ラオスのニーズにあった本を製作し、スーパーマーケットの一角で販売するなどの活動をしています。次に、運営側の立場から、ラオス事務所の自立を進めています。具体的には、プロジェクトに対する評価を、一方的に東京事務所が行うのではなく、現地のスタッフに行わせることで積極的な働きかけを伸ばしています。
 以上の報告をふまえ、質疑応答も大変盛り上がりました。特に、学校に配布される本の中身については白熱した議論が行われました。配布される本の中には同じ種類のものが最大5冊含まれるため、種類が少なくなってしまってしまいがちですが、児童の様々な才能を伸ばすためにも、本のバラエティを増やす必要があります。しかし、ラオス国内の現状としては、執筆活動が遅れている上、翻訳本の単価も高いので、質の高い本を揃えることが難しい状況です。持続可能な読書環境を作るためには、作家の育成も必要のようです。そのため、今後の課題は「『子供たちに何を伝えたいのか?』を意識した質の高い作家をいかに育成していくか」になりそうです。

【参加者からの感想、質疑応答】
感想
@ハード面(図書館)だけでなく、ソフト面(持続可能性を支えるシステム)の充実が進んでおり、感銘を受けた。

A広い地域で活動を行っている点がすばらしい。政府には出来ないので、NPOが重要な役割を果たす。

B教育効果の説明が難しいという点に同意する。
→(アドバイス:@エピソードベースのエビデンスに変えるA異業種から評価する)
 (=@教育効果の測定には時間がかかるので、個別のエピソードを蓄積していき、データ化する)
 (=A教育効果は、医療面から説明することができる)

質問
@36校中35校が成功したと聞いたが、失敗した1校はどのようなことが原因だったのか?
→担当者が変わる際に引継ぎに失敗した。また、担当者が変わっても円滑に進む環境が整っていなかった。

Aインドネシアで幼児教育を行っているので、ラオスの幼児教育について知りたい
→教育省が検討中。現状としては、教育研修を行うと決めた段階である。(補足:小学校の就学率は70%)
→駐在員の見識では、教員の教育プログラムだけでは不十分。経済活動と連動させる必要がある。
 自立的に関心を持つ人を中心に他の人にも輪を広げ、ネットワークを作っていく。

B学校内の研修はどうなっているのか?
→初めは、不安定なのでラオスのこどもから教員へ直接指導を行っていく。段階的に、教員から教員へ指導ができるようにする。

C図書館や建物などの箱物だけでなく、本の種類や冊数といった中身はどうなっているか?
→型として固定するところとフレキシブルに対応するところを分ける。
 現状に合わせた対応
→生徒数によって冊数を変える。
→ニーズの調査。(補足:近年は農業に関する本に需要がある。)

D本の貸出にお金がかかると、利用する人が減るのではないか?
→貸出の度にお金がかかるのではなく、登録料と考えている。登録料を設定するのは、むしろ主流である。登録料を支払うことで、今後も管理・利用していこうというインセンティブにつながる。

E(=Dから派生) 登録料は誰が支払うのか?
→児童の両親が支払うことになる。
→学校側の意図(インセンティブを刺激)が利用者に伝わらず、障害を引き起こしている。

【報告:インターン川島智子】
 


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